SITION
業務から考える AI2026年10月15日

SITION は AI でどう回っているか

SITION は、3 つのメディアの情報集め・執筆・公開・点検の大半を AI に任せ、方針と最終判断だけを人が持つ形で運営しています。この特集「業務から考える AI」では、会社の業務ごとに AI の組み込み方を手順として整理していきます。その前に、私たち自身がどう回しているかを、実際に数えた数字で紹介します。

■ 何を運営しているか

SITION が運営しているのは、性格の違う 3 つのメディアです。

メディア中身直近 30 日に公開した記事
LiveMakers先行指標から次に動く金融を読む、金融インテリジェンス592 本
SIPO.TOKYOCardano のステークプール・DRep としての発信250 本
LifeMakers暮らしと技術のライフスタイルメディア直近の 50 本が約 5 日間 (1 日 10 本前後)

LiveMakers の 592 本の内訳は、速報 160 本・ニュース解説 332 本・朝のまとめ 30 本・長い分析 26 本などです。1 日あたりにすると、3 つのメディアで 40 本前後になります。

これを支えているのは、多くの記者がいる編集部ではありません。AI と、その AI が従う決まりと、最終判断をする人です。

■ 仕事の流れと、誰が何をするか

1 本の記事ができるまでを分けると、次の流れになります。

段階中身担当
集める公式の発表・公的機関・報道・X などを、1 日 5 回巡回して集めるAI
選ぶ読者にとっての重要度と鮮度で並べ、同じ話題の重複を外すAI
確かめる数字・日付・誰が何を言ったかを、一次の資料で確かめるAI (決まりに沿って)
書く媒体ごとの書き方の決まりに沿って書くAI
画像記事ごとにサムネイルを新しく作るAI
公開記事の種類ごとに決めた条件で公開するAI と人 (下で説明)
点検出た本数・止まった所を数え、異常を知らせるAI。知らせを人が見る

人が持っているのは、何を書くメディアにするか (方針)、新しい連載を始めるか、公開してよいかの最終判断が要る記事、そしてお金と、外部の相手とのやり取りです。

■ 3 段階で見ると

この特集では、AI の組み込み方を 3 段階で整理します。① AI が下書きし、人が全部見る。② 確認つきで任せる (人は例外と抜き取りを見る)。③ 任せる (人は数字で見張る)。私たちの運営を当てはめると、次のようになります。

  • ③ 任せる: 情報を集めて並べる、記事ごとの画像を作る、出た本数を数える。間違えても読者に直接は届かない、または機械で確かめられる作業です
  • ② 確認つきで任せる: 毎日の速報やニュース解説。決まりに沿った機械の点検を通ったものだけを出し、通らなかったものは止めて人に知らせます
  • ① 下書き: 長い分析記事や連載、方針に関わる記事。AI が下書きを作り、人が全部読んでから公開します

同じ「記事を書く」でも、読者への影響の大きさで段階を分けています。どこまで任せるかは、業務の種類ではなく、間違えたときに何が起きるかで決めています。

■ 準備したもの — データ・ルール・人

AI に任せる前に用意したのは、次の 3 つです。

  • データ: どこから情報を取るか (公式の発表・公的機関・一次資料) の一覧と、過去に何を書いたかの記録。記録がないと、同じ話を何度も書いてしまいます
  • ルール: 書き方の決まりを、すべて文書にしました。「数字は一次の資料で確かめる」「報道の数字をそのまま使わない」「タイトルは見出しの文体で」「公開してよいのはどの記事か」などです。AI は会話の中で言われたことを次の日には覚えていないことがあるため、決まりは文書が正本です
  • 人: 最終判断をする人を 1 人に決めています。AI が迷った点は、その人に短い質問として届きます

■ うまくいかなかったこと

AI で回すことの難しさは、作ることより、止まったことに気づくことにありました。

  • 黙って止まる: 仕組みの一部が止まっても、エラーの記録が残らない止まり方があります。記録を見て「失敗はない」と判断すると、気づくのが遅れます。いまは「出るはずの記事が出たか」を毎日数え、足りない日を先に見るようにしています
  • 書き方がずれる: 決まりを文書にしていない部分は、日によって書き方が揺れました。気づいたものから文書に足しています
  • 報道の数字と原典がずれる: 報道に出た数字が、元の資料と違うことがあります。だから「確かめる」を独立した段階にしています

■ 効果をどう測っているか

いま毎日数えているのは、公開した本数と、止めた件数です。一方で、AI を入れたことで人の作業時間が何時間減ったかは、数字で示せません。始める前の作業時間を記録していなかったためです。

この特集で「始める前に、今のやり方を測る」を最初の手順に置いているのは、この反省からです。

■ この特集で書いていくこと

次回から、1 回に 1 つの業務を取り上げます。社内で完結する業務から始め、社外の人に触れる業務、お金と正確さが大事な業務の順に進みます。

  1. 議事録と宿題の追跡
  2. 社内ヘルプデスク
  3. 営業資料・提案書
  4. 問い合わせ対応
  5. 受発注
  6. 月次経理

どの回も、今のやり方、AI の組み込み方、必要な準備、気をつけること、効果の測り方、最初の 2 週間でやることを、手順として書きます。

■ ことば

  • AI エージェント: 決めた手順に沿って、複数の作業を続けて任せられる仕組み。文章を 1 回作るだけの使い方と違い、「集めて、選んで、書いて、知らせる」までを続けて行います
  • 一次の資料: 公式の発表・公的機関の統計・法令など、情報の元になった資料。報道や要約ではないもの

数字の出どころ

  • 記事の本数は 2026 年 10 月 15 日に、各サイトの公開情報から数えました。期間は 2026 年 9 月 15 日〜10 月 14 日の 30 日間
  • LiveMakers: サイトマップに載った記事のうち、URL の日付がこの期間のもの
  • SIPO.TOKYO: サイトの記事一覧に記録された公開日がこの期間のもの
  • LifeMakers: 30 日分の公開日を公開情報から数えられなかったため、RSS に載る直近 50 本 (2026 年 10 月 10 日〜15 日) で示しました